ポール・マッカートニーのソロ作品が多すぎて、どれから聴けばいいのかわからない!
ども、人生にゆとりと幸福を創るFPゆとらです。
ポール・マッカートニーに関しては活動履歴も長く、ヒットアルバムや名曲も多いので二回に分けてお届けしています。
さて今回は第二回目です。
80年代ぐらいからのポールの活動時期がメインとなります。
忙しくてなかなかゆっくり音楽を聴く時間がない方も多いと思いますので、エバーグリーンな音楽だけをお伝えするように心がけています。
おすすめアルバムの続き
1.LONDON TOWN(ロンドン・タウン)
さて、まずはアルバムはポール・マッカートニー&ウイングスの『LONDON TOWN』です。
この『ロンドン・タウン』はまだCDでアーカイヴ・コレクション化(リマスターまたはリミックス)されていないのですが、何ともポールらしいというか、佳曲がズラリと並んでいてアルバム全体を通して、とっても気持ちよく聴けるアルバムになっていて、僕個人的には絶対に外せない一枚です。
良い感じで肩の力が抜けているポール&ウイングスの円熟の魅力がたっぷりです。
現在発売されている盤に収録される「Mull Of Kintyre」は、当時ビートルズが持っていたシングル最多売上記録(She Loves You)を塗り替えたという、バグパイプが登場するスコティッシュワルツの名曲です。
ポールのファルセットが聴ける珍しい曲「Girlfriend」や、ベスト盤にも収録される名曲「With A Little Luck」など、どれも激しいロックというより、安心のポール印の心地よいアルバムなんですよね。
こんなにしっとりしたウイングスのアルバムは他にないと言っていいでしょう。
またこの時期の未発表曲「Waterspout」も超名曲だと個人的には思っているのですが、まだ日の目を見ておらず、僕の中で早くオフィシャルに聴きたい未発表曲No.1です。
未発表曲含め、早くアーカイヴ・コレクションCD化(リマスターまたはリミックス)してほしいものです。
二度目のソロ活動からのおすすめアルバム
さて、次にウイングス最後になったアルバム『Back To The Egg』も悪くないのですが、ウイングス解散後のソロアルバムにも素晴らしいものがあるので見ていきたいと思います。
ソロ再開となった『McCartneyⅡ』は、やはりポールが自分でほぼ楽器を演奏するやや実験的なアルバムで、ジョンも好きだった「Coming Up」や日本人を揶揄したとされる「Frozen Jap」など印象的な曲もありますが、時代背景に媚びた音もあり、誰にでもおすすめできる出来とはいえません。
2.Tug Of War(タッグ・オブ・ウォー)
ソロでの80年代代表作と言えばやはり『Tug Of War』を上げないわけにはいかないでしょう。
当然のように米国・英国ともチャート1位を獲得している名盤です。
は『Tug Of War』ジョンの死後、初めて発売されたポールのアルバムです。
ウイングスのアルバムとして発売される可能性もありましたが、デニー・レインとの仲たがいもあり、プロデューサーにビートルズ時代に組んだジョージ・マーティンを起用しソロ作品として発表されました。
綱引きを意味する「Tag Of War」からはじまり、いかにもポール節のポップな「Take It Away」へ続く流れは、ポールの真骨頂!エバーグリーンさを感じさせます。
亡くなったジョンを偲んだ「Here Today」、カール・パーキンスとの共演「Get It」など佳曲揃い。
そしてスディーヴィー・ワンダーとの名曲「Ebony & Ivory」はポールファンならずとも聴いておかなければならない80年代を代表する大ヒット曲かつ名曲です。
80年代ソロ作はまずこの『Tug Of War』から聴きましょう。僕は気に入ってCDのみならずレコード(当時盤)まで持っています。
その後の『Pipes Of Peace』(パイプス・オブ・ピース)は『Tug Of War』の続編のような扱いで『ジョージ・マーティンプロデュースで内容も悪くないです。
ただ毛色の異なるマイケル・ジャクソンとの大ヒット曲「Say Say Say」(セイ・セイ・セイ)など聴きどころもあるんですが、劣化版『Tug Of War』といった感じなので(ファンに怒られそう)、いったんスルーでもいいと思います。
また次の『Press To Play』(プレス・トゥ・プレイ)も、ポールと似た方向性の10ccのエリック・スチュアートととの共作を多く含む佳作ですが、やはりポールは自分とは違う個性のアーティストと組むほうが良さが出るようで、ポールのアルバムとしては失敗作との評判が高く、コアなファン向けでしょう。
「Press」とか僕は好きな曲なんですけどね。
3.Flowers In The Dirt(フラワーズ・イン・ザ・ダート)
さて80年代ポール復活!を印象づけた名盤と言えば『Flowers In The Dirt』です。全英1位。
『Tug Of War』でもそうでしたが、この頃のポールは一緒に切磋琢磨できるパートナーのような存在を探していたように思います。そう、かつてのジョン・レノンのように。
で、実際に様々なアーティストとコラボしているのですが、最も成果を収めたのが本作で共演したエルヴィス・コステロです。
エルヴィス・コステロのジョン・レノンのような言葉に衣着せぬ物言いがポールを刺激したようで、4作もの共作が収録されており、一部ではコステロのヴォーカルも聞けます。
全体的に質の高い曲が並びますが、コステロとの共作群「My Brave Face」「You Want Her To」はかつてのビートルズ時代を彷彿させる曲ですね。特に後者はポールとコステロの掛け合いが素晴らしい!
ライヴ映えする「Figure Of Eight」はシングル盤はアルバム収録とは異なる録音。シングル盤、ライヴ盤の方がはるかに良い出来ですが、アルバム収録の方も悪くないです。
その他「This One」はポールらしいポップな曲でぜひ聞いてほしいですね。
なお「That Day Is Done」ではニッキー・ホプキンスがピアノでゲスト参加し、ビートルズ「Revolution」以来のコラボとなりました。
残念なのは、CDにてアーカイヴ・コレクション化された際に、かつてボーナストラックやスペシャルパッケージとして入っていた曲が収録されなかったことです。
特に個人的に好きな「Loveliest Thing」はポールらしい佳作だったので、いつかどこかでリマスターされ収録されてほしいと願っています。
それと、このアルバムあたりからポールの声質が少し変わってきます。年齢が少し出てくるといいますか。
次作『Off the Ground』(オフ・ザ・グラウンド)は、ビートルズらしいシングル「Hope Of Deliverance」と、「Oh,Yeah!と叫んでいるジョン・レノンをイメージして創られた」とされる「C’mon People」なんかは名曲なんですが、アルバム全体としてはイマイチの出来で、個人的にはあまりオススメとまではいきません。
それだったら、それらも入ったライヴアルバム『Paul Is Live』(ポール・イズ・ライヴ)の方を聞いた方が聴きごたえがあると思います。紙ジャケット仕様のものがリマスターされていて音が綺麗です。
ひっそりとリマスターされ紙ジャケットで発売されたため、知らない方も多いように思います。
こういったものはすぐ市場から消えてプレミアがつくので手に入れておくことをオススメします。
4.Chaos and Creation in the Back Yard(ケイオス・アンド・クリエイション・イン・ザ・バックヤード~裏庭の混沌と創造)
さて次は、一般的にはビートルズアンソロジー制作時に合わせて発表された『Flaming Pie』(フレミング・パイ)ということになろうと思いますが、こちらもスルーです(笑)。
確かに「Young Boy」、ライヴでも演奏される「Calico Skies」や、既に1986年ごろに書かれていたとされる名曲「Beautiful Night」(ドラムはリンゴ・スター。一部ヴォーカルも!)など聴き所は多いアルバムなんですが、ポールのレベルからすれば名作とまでは個人的には呼べません。
ってことで、次は『Chaos and Creation in the Back Yard』(2005年発表)です。英国10位・米国6位。
当時はCCCD(コピー・コントロール・CD)という、コピー防止処理が入ったCD規格から外れる形で販売され、DVD付の限定版もありましたが、現在はCDで発売されています。
このアルバムのいいところは、ポールがほぼ一人で全ての楽器を演奏しているというところでしょう。
プロデューサーを引退したジョージ・マーティンがナイジェル・ゴドリッチを推薦し、ナイジェルからの提案でそのようになったようです。
結果『Chaos and Creation in the Back Yard』は、非常に「ビートルズっぽさ」が出た、味わい深いアルバムになっています。
このアルバムの前には、今のポールが現在もともに活動する信頼のおけるバンドメンバーでライヴ活動や『Driving Rain』というアルバムを発表したり、ヘザー・ミルズとの結婚など、充実していたポールでしたが、音楽的にはこのアルバムでようやくポールの本領発揮!といった所でしょうか。
そうそう!この音だよ!と。
つい言いたくなるような音の質感。
「English Tea」はビートルズが収録されていたかのよう。しばらく忘れていたポール調の佳作です。
ポールの声は年齢を感じさせますが、どれもどこか懐かしく全体的にビートリーな雰囲気に包まれていて、いわゆる「ポールっぽさ」を求める方には久々にしっくり来るエバーグリーンなアルバム、ということでオススメです。
最後(実はそのあとに隠しトラックもあるが)を飾る名曲「Anyway」も実にポールらしい作品で、いつまでも聞いていたくなる普遍性を感じます。
その後のポール・マッカートニー
その後もポールは精力的に活動を続けています。
これで見納めかも?
と思って、僕もライヴに何度か足を運びましたね。
結果、まだライヴ活動は続けています。
アルバムも『Memory Almost Full』(追憶の彼方に)を2007年に、『NEW』(ニュー)を2013年に発表し、それぞれチャートも上位にランクインさせています。
シングル曲「NEW」は聞いた瞬間からワクワクするビートルズ調の名曲ですし、「Dance Tonight」なんかもウクレレが登場するウキウキなナンバーなんですが、アルバム全体としてはかつてのポールのレベルには届かず、いわゆる捨て曲というものが結構あったりでオススメとまではいきません。
もちろん僕が「ポールの進化」を受け入れられないだけの可能性もありますが。。。
その後2018年に発表された『Egypt Station』(エジプト・ステーション)は、全米1位に輝いていますが、「I Don’t Know」「Who Cares」など佳曲もあるのですが、やはりアルバム全体となると・・・。
『McCartney III』(マッカートニー3)2020年も同様です。
ただ、どのアルバムにも言えるのですが、ポール・マッカートニーほどのアーティストであれば、必ず「これは!」という1曲が収録されていて、ファンなら買ってしまうものには出来上がっています。
ビーチボーイズの後期に含まれる数少ないブライアン作曲の名曲、みたいなのが必ず入っているんですよね(笑)。
ということでファンにはすべて新録CDでも「買い」になるわけですが、もしビートルズから入って、「ポールのソロも聴いてみたいな~」ということであれば、この記事を参考にして、まずは「ポールらしい」「ポールに求める曲調」の多いアルバムから聞いてみてほしいと思います。
ポール・マッカートニーは活動時期も長く名曲も数多いですが、ベスト盤では味わえない「味」みたいなものがアルバムにはあるので、できればアルバム全体を通して聴いてみてほしいですね。
第一回目で紹介した『RAM』とか今回の『Chaos and Creation in the Back Yard』なんて、正にそんなアルバムです。
なので、ベスト盤はあえて紹介していませんし、ベスト盤を作ろうもんなら最低でも4枚組とかになるでしょう。今のところ決定版と呼べるベスト盤はない!と断言しておきます。
では、また音楽遺産、音楽数珠繋ぎで会いましょう!
良い音楽で忙しい毎日に少しでも潤いとゆとりの時間を持ってくださいね。